Novel

□Haruka's memory
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「ねえ、はるか。」

「ん?」


風呂上がり、濡れた髪を拭きつつ寝室に戻ると、1冊のアルバムを出して興味深げに眺めているみちるの姿。


「アルバムなんか引っ張り出してどうしたんだい?」


そう声を掛けて、みちるの隣に腰を下ろし横から覗き込むと、まだ戦いの真っ只中にいた頃の僕とみちるや、幼い頃のほたるを収めた写真が所狭しと並んでいた。懐かしいなと思いつつ微笑んで、視線をみちるに向けると、みちるは他の写真はそっちのけで、1枚の古い写真をしげしげと眺めていた。


「これ、何方?」

「え?」


無言でみちるの手からそっと写真を受け取って、眺めてみる。


色褪せた古い写真。そこに写っているのは、少し癖っ毛の蜂蜜色のショートヘアをした幼い子供。黒いランドセルをしょって、男の子同然の格好をしているけれど、幼いながらにはっきりと面影があるところを見ると、明らかに小学生の頃の僕。後ろにある桜並木を考えると、恐らく入学式か何かだろうと思う。


みちるが聞いてるのは、その隣に写るウェーブのかかった長い黒髪がよく似合う、綺麗な女性だった。少し日本人離れした顔つきからハーフだとわかる。


「はるかのお母様?」

「いや、それは違う。」


母親はまだ物心がつく前に父親と共に他界していた。みちるには僕が幼い頃の話なんてしたことがなかったから、知らなくて当然だった。
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