Novel

□微睡みの中
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朝日がカーテンの裾から射し込んで部屋中を明るく包み込む。


いつも通りの時間にセットした目覚まし時計のアラームが、けたたましい音を立てて私を夢の国から現実の世界へ引き戻してしまった。


「………。」


まだ寝呆けた頭のまま、ぼんやりとした視界を捕える。


「………?」


その時、いつもとは何かが違う気がした。私の前にあるのは部屋の風景。白いソファーにドレッサー、楽譜がたくさん詰まった大きな本棚。


毎朝それを遮る私の大好きな影が見当たらない。


「ん…みちる…。」


少し下から消え入るような声がして、ふと視線を落とすとそこにあったのはさっき私が探していた影の姿。


「はるか…?」


まるで子供が母親に抱き付くように、私の胸元に顔を埋めて眠るはるか。


思わず、自然と笑みが零れた。


いつも私をその力強い腕で抱き締めるはるか。見上げるのは私のほう。


逆転したこの状態がやけに愛しく思えて。すやすやと寝息を立てるはるかが無防備で可愛くて。


「ふふっ、はるかったら。」


はるかの蜂蜜色をした髪をふわふわと撫で、抱き締める。


今日は仕事も何もないし、もう少しこのままでいたいわ。たまにはせつなに朝ご飯の支度を任せてもいいかしら、ね。


せつなに少し甘えて、今日ははるかと一緒にお寝坊さんね。


些細な小さな幸せに、身を委ねてはるかと2人、もう一度また、夢の中。


長閑な春の、ある日の朝。




fin...♪*゚
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