Novel
□Mermaid dream@
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あるところに、世にも美しい少女がいました。
透き通るように白い肌。吸い込まれるような深く綺麗な瞳に、すっとした少し高い鼻は、日本人でありながら西洋の貴族を思わせました。風になびく長い髪は、母なる海のエメラルド。
完璧なバランスの取れたスタイルは、世の女の子が羨むその全てを持っていました。
そして、もうひとつ。
それは彼女の最大の魅力。
歌声───。
薄紅色の唇から紡ぎ出されるその音色は、おとぎ話に出て来る妖精の子守唄のようでした。透明な凛とした美しいその声は、彼女が住む森の隅々まで響き渡りました。
最愛の、その人への想いを乗せて。