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□ふたり
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今日は準太と帰る約束をしていたので、部活が終わった後すぐに学校を早足で出た。
早く会いたいと何回も心の中で呟いた。
 
 
急に視界が真っ暗になった。
 
俺は驚いて奇声をあげてしまった。すると聞き覚えのある声で笑われ、後ろを振り向くとそいつは笑い涙まで流していた。
 
 
「おい準太!笑うんじゃねぇよ!」
 
「わり、でもダメだ…!っ…ハハ!!」
 
 
こいつは本人の前でも平然と笑っている。少し気に触るが、準太が笑っている所を見ると自然と苛々が落ち着き、可愛いいと思ってしまう。そして愛しい。
 
俺はギュッと抱き寄せて両腕に力を込めた。至近距離だったせいか、準太の顔が急激に真っ赤になって行くのがよく分かった。
いつまで経っても変わらない初初しさがまた可愛くて、そのまま勢いで口にキスを落とした。
 
でも、さすがにそこまですると駄目だった。準太は俺の顔面に拳を振るい、今度は怒りで真っ赤になっていた。怒った顔も可愛いい。と思った俺は重症なんだろうか。
 
 
「榛名のバカ!このスケベ野郎!」
 
 
準太は暴言を吐き、足早に歩いて行った。
ジンジンと痛みが広がる頬を手で抑え、反対側の手で準太の利き手を握ると、その手は完璧に冷えきっていた。
よく見ると鼻も赤くなっているし、しかもこの寒さの中マフラーも身に付けていなかった。
 
 
「寒くねぇの?」
 
「え、あぁ、その…学校に忘れた」
 
「…はぁ!?」
 
 
有り得ない。この寒さで普通は忘れないと思う。いや、絶対に忘れはしない。
 
 
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