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□3月14日
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口の中が甘ったるい味が広がり、一瞬吐気がした。しかしあの榛名がわざわざ買ってきてくれた物だから目の前で食べるのを止める事が出来ない。
 
榛名が買ってきてくれた物はマシュマロだった。俺が二月十四日のバレンタインデーの時のチョコの御返しでくれた物。しかもご丁寧に二袋も。
マシュマロは同じ味の物ばかり食べて飽きてしまうし、食い過ぎると下手したら戻してしまう。それほど俺の腹は既に満腹状態だった。
 
 
「ってか、なんでマシュマロ?」
 
「姉貴がホワイトデーにはマシュマロって言ってて、それに便乗?して買った」
 
「どんな便乗だよ…」
 
 
テーブルの上に置いてあった飲みかけのお茶を一口飲んだ。それでも口の中の甘ったるいのは消え無かった。
すると榛名は自分の鞄の中を探って行った。そして何かを見つけたような様子をして、その何かを後ろに隠した。
 
 
「準太ー、目瞑ってー」
 
「は…?なんで?」
 
「良いから良いから。そんで口も開けろ」
 
「…はいはい」
 
 
俺は仕方なく榛名の言うとおりにして黙って目を瞑った。そして口を開けた瞬間、榛名がその何かを俺の口の中に指と一瞬に突っ込んだ。すると口の中が先程と違う、ほろ苦い味が全体に広がった。
 
だが、いきなりの出来事だったので驚いた俺は反射的に榛名の指をおもいっきり噛んでしまった。
すると榛名はすぐに指を引き離した。結構痛かったのか、少々涙目になっていた。
 
 
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