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榛準
「大嫌い」
まだ馴れないその言葉。
「大嫌い」
分かってる。
これは本音なんかじゃ無い。
だってずっと下を向いて話してるから。
これは準太の癖だって分かってる。
そして準太は俺に、こう言って欲しいんだ。
「大好き」
でも準太はきっとまだ言ってくる。
実は準太は心配性で、寂しがり屋で。
とにかく知らせないといけないんだ。
「…っ大、嫌い」
ほら、言ってきた。
「準太、大好き」
「……だいきらい」
「好き。大好き」
「…うん」
優しく手を握ると準太も握り返してくれる。
今の準太は、これが精一杯らしい。
今は、これで十分。
十分、分かりあってるから
〔伝わる振動〕
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