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□甘い、甘い
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…はぁー……。ったく、いくら会うのが久しぶりだからって、何もこんなに横暴……に………。
 
 
「は、るな!?」
 
「……」
 
 
えぇ…っ!?俺…今抱き締められてる…のか!?
ヤバ…っ、いきなりだから徐々に顔が熱くなって行くし…。
それに榛名にも伝わりそうな程、凄く心音が煩い…!!
 
 
「榛名…っ、離れ…ろ!」
 
「準太ー…」
 
 
離れたくても榛名は腰に手を回すし、何より力が入ってるせいか中々離してくれなかった。
 
 
「…準太……」
 
「な、んだよ…」
 
 
「シャンプー変えた?」
 
「……」
 
 
えぇ変えましとも!この間良い感じのシャンプーを!!
でもなんで分かるんだよ!!もう尊敬するわっ!!
 
 
「お前もいつまで匂いでんだ!離せ!!」
 
「え〜準太のケチー」
 
 
俺は無理矢理榛名の腕を引き剥がし、先に二階にある榛名の部屋へと歩いて行った。
…後ろから榛名の不満そうな声が聞こえるけで、そんなの無視だ! 
 
 
「……」
 
「準太〜…」
 
 
部屋に入った途端、これだ。
いきなり後ろから抱きつかれ、ずっと離してもらえない。
 
 
「離せ。邪魔ー」
 
「いーやーだー」
 
 
そう言うと、また腕に力を入れ、離そうとしてくれない。
ちっ…、こうベタベタされると調子狂うな…。
 
 
「あ、そうだ。肉まん買ってきてたんだ」
 
「マジで?くれんの?」
 
「おう。感謝しろよー」
 
 
俺はコンビニの袋に入っている肉まんを取り出し、榛名に渡した。しかし、榛名は俺が渡した肉まんをじーっと見つめている。
 
 
「…食べろよ」
 
「準太…」
 
「……何」
 
「食べさせて」
 
 
えぇぇええぇ…っ!?この人…何言って…!しかも、すでに口開けてるし…。
 
 
「いやいや、自分で食べろって!お前年いくつだと思ってんだ!」
 
「うるせぇ!ほら、早く!」
 
 
榛名は俺に肉まんを持たせ、俺の手を引っ張り、榛名の口元まで持って行かれた。
うわ…、これ本当にやらなきゃいけねぇのか!?
あーもう俺知らねーぞ!!
 
 
「ヒヒ、あーん」
 
「黙って食べろ!…ほら」
 
 
俺は恥を捨てて榛名に食べさせた。

食べさせてる間、ずっと無言だったが、榛名がとても可愛いと思ってしまった。
 
こんな榛名も、好きだけどな。
 
 
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