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□1月1日
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「俺がせっかく来てやったのに何だそれは!」
「いや、誰も頼んでませんから」
こいつの自己中には、いや、俺様か。いつも呆れさせられる。
この性格には正直うんざりだ。俺は少しばかり榛名に仕返しをしようと閃いた。
「準太ー開けろー」
「…」
「……じゅんた?」
ドアの向こうから何回も榛名に呼ばれている。だけど俺はその呼び掛けを無視する。と言う仕返し。
ちょっと可哀想な事しているが今までの榛名の行動を思い出すと、やっぱり苛々する。仕返し続行決定!!
「じゅーんた」
俺はドアにもたれた。絶対に無いと思うけど、榛名の口から「参った」と一言言わしてやりたいものだ。
「…準太ー」
段々と声が小さくなってきた。そろそろ榛名の方も限界か?
「………」
聞こえなくなった。とうとう痺を切らして帰ったかもしれない。
と、思っていると微かに声が聞こえた。
しかも俺に話しかけている。俺はドアに耳を近付けた。
「準太、俺さー今年初めにお前に会いたかったんだー」
俺はスウェットをギュッと握った。そして今頃になって少しだけ罪悪感を感じた。
「そんで来てみたら、この有り様だしな。……本当に悪かったな」
違う、俺が悪かったんだ。あんな子供じみた事をした俺がいけないんだ。
俺はドアノブに手を置いた。
「今年も、来年も、この先の未来も、ずっとお前を愛してる」
ドアを開けた。すると鈍い音が鳴った。ドアの前に立っていた榛名に当たったらしい。
俺はその光景に吹いてしまった。
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