BRAVE STORY

□コネクト
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目の前に並べられたDVDを見て、ぼくたちは絶句した。
色鮮やかなイラスト。いかにも女子が興味を持ちそうな可愛らしい魔法少女が描かれている。
「な、なにこれ…」
やっとの思いで声を振り絞ったぼくの言葉に、宮原は笑顔で答えた。
「最近流行ってるアニメなんだ。絵の雰囲気からは想像できない重厚なストーリーと衝撃的な展開で人気があるらしいよ。特に3話が壮絶らしくて、なんでも女の子が…」
「知ってる」
宮原の言葉を遮って繰り出された美鶴の発言に、ぼくたちは目を丸くした。
「え、美鶴、知ってるの!?」
「あぁ、この間アヤが借りてきた」
「あ…アヤちゃんか」
内心では美鶴が借りたのかと失礼なことを考えていたぼくは思わずそう言ってしまった。
一睨みされてびくりと肩を竦ませると刹那、美鶴の右の口角が上がって嫌な予感がした(その笑い方をする時は大抵何かを企んでいるからだ)。
「なんだ、芦川知ってたんだね。今日良かったらうちで一緒に見ないかって言おうと思ってたん…」
「行く」
真顔に戻った美鶴がまた宮原の言葉を遮って勝手に行くと宣言をしてしまった。
「ちょ、ぼくの予定は無視……」
「亘の予定なら昨日の夜おばさんに確認済みだ」
「はあっ!?……もー」
また知らない間に母さんと連絡をとっていたことに呆れながら(おおかた、ぼくがお風呂に入っていた時に美鶴が電話してきたのだろうと予想出来るが)、ぼくも渋々頷いた。
魔法少女もののアニメなんかに興味はないけれど、折角宮原が誘ってくれているのだからそこは我慢だ。
「でも美鶴、見たんじゃないの?」
一度見たアニメを二度見返すというのは、余程のマニアでない限りは苦痛だろう。
しかしそんな心配をよそに当の本人は平気だと言って席へ戻ってしまった。
チャイムが鳴ったので、ぼくも宮原にまた放課後ねと声をかけてクラスへ戻ることにした。
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