Other

□会いたくて会いたくて
1ページ/1ページ










彼を失ってから1年が経った。

僕、原川研一は中学1年生。
彼というのは、小学6年生の頃に付き合っていた猫目宗助さん。当時16歳。



「何処行っちゃったのさ…」



自室の暗い、ぼんやりとした天井を見上げて呟く。

手首から生温い液体がこぼれて、ベッドのシーツを濡らしている。


突然何処かへ消えてしまった彼は、一年前から音信不通。
とても大きな罪を犯し、そしてとても大きな罰を背負った恋人は、ある日僕の前から姿を消した。
逃げることを選んだのだ。



メールもエラー。

電話も繋がらない。


メガネすら持って居ないかもしれない。

もしかすると



「死んだのかな」



ふと口に出してみて、その言葉の子供っぽさとそれ故の残酷さに、ぞっとした。

悪寒が身体を廻り、無意識に震える。
ぎゅっと身体を抱いてみるが、震えは止まらない。

せきをきったように涙があふれ、頬を伝い、僕の服を濡らす。


自分で言っておいて泣くなんて、子供みたいだ。



「宗助…」



名前を呼んでみるが、勿論応答する声など無い。


心の中で黒い影がゴソゴソと蠢く。


僕は黙って目を閉じた。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ