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□会いたくて会いたくて
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彼を失ってから1年が経った。
僕、原川研一は中学1年生。
彼というのは、小学6年生の頃に付き合っていた猫目宗助さん。当時16歳。
「何処行っちゃったのさ…」
自室の暗い、ぼんやりとした天井を見上げて呟く。
手首から生温い液体がこぼれて、ベッドのシーツを濡らしている。
突然何処かへ消えてしまった彼は、一年前から音信不通。
とても大きな罪を犯し、そしてとても大きな罰を背負った恋人は、ある日僕の前から姿を消した。
逃げることを選んだのだ。
メールもエラー。
電話も繋がらない。
メガネすら持って居ないかもしれない。
もしかすると
「死んだのかな」
ふと口に出してみて、その言葉の子供っぽさとそれ故の残酷さに、ぞっとした。
悪寒が身体を廻り、無意識に震える。
ぎゅっと身体を抱いてみるが、震えは止まらない。
せきをきったように涙があふれ、頬を伝い、僕の服を濡らす。
自分で言っておいて泣くなんて、子供みたいだ。
「宗助…」
名前を呼んでみるが、勿論応答する声など無い。
心の中で黒い影がゴソゴソと蠢く。
僕は黙って目を閉じた。