Other

□refrain
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僕は窓の外を眺めてぼんやりと行き交う人を観察していた。
退屈で。何か起きないかな、何か起きないかな。僅かながらに期待して過ごす夕方。それが当たり前だった気がしたから、僕はこんなにも突然に壊れる景色を予測出来なかった。
僕はドキッとする。
誰も見向きもしない少年Aの佇む窓際。
そこを君が見上げたから。


君は他愛ないお喋りを何度も繰り返す。僕は相槌を打って。君に話の続きを促す。
ブラウニーとマドレーヌ。
君はこんなことを言う。
「わたしがきみをわらわせてあげるよ」
誰もそんなことを望んじゃいないよと言うと、君は、「いつかわたしのことわすれないひがくるよ」なんて言いながら名前も知らない僕に笑顔を向ける。
だから僕は君に「マドレーヌ、君はもうここには来なくていい」と伝える。
当然君は驚いた顔をして、でもただ頷いて「さよなら、あたしのブラウニー」と呟いた。君をこんなところに縛り付けるわけにはいかないから。もう帰ってよ。


僕は窓の外を眺める。君が見上げる。目が合う。
ひらひらと小さく手を振って、僕も振り返して。
君がここを通らなくなるまでに何回も繰り返される。お菓子なリフレイン。





だけれど僕はそれを知らない。

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