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□チェス勝負
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つい数分前、賢木が僕の部屋にきて言った。

「賭けをしないか。」

どうやらチェスで勝った方が命令を出来る、そんなルールのものだった。
僕は少し考えたが賢木がサイコメトリを使わないを条件に了承した。

「うーん…」

で、時間を戻して今。
賢木は俺の前で唸っていた。

どうやら勝負はついたようで。

「くっそー、負けたぁ!」

がー、とかバタバタしながら言う賢木はどうも僕より子供っぽい。
それに思わず笑みがこぼれる。

「ココの一手さえ間違えなきゃあよう…」
「そうだな。」

そういってまた悔しそうにする。

「まぁ、とやかく言っても仕方ないしな…んで。」
「なんだ?」
「お前の命令は何だ?」

勝ったんだから何か言えよ、と急かす賢木に今度は僕が唸る番。

そうだ、何も考えて無かった。

「んだよ、何も考えて無かったのかー?」
「あぁ。」
「ったく…つまんねえのー。」

そういって溜め息をはく賢木。
だって考えて無かったのだから仕方ないだろう。
じー、と賢木を睨む様に見ていると不意に考えついた。

「…あ。」
「どうした?」
「賢木…」
「だからなんだよ…」

名前を呼びながら手を握ってやると賢木は驚いた様子。
それが少し可愛くてそのままキスをした。

「っな。み、なもと…?」

離れると賢木は頬を紅くしていて。
こいつ不意打ちに弱いからな。
それがおかしくてまた僕は笑ってしまった。


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不意打ちに弱い賢木せんせとちょっとやり手になってしまった皆本さん。

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