dream
□カスミソウの貴方
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毎日毎日、花を綺麗に咲かせようと水を変え、枯れたら新しい花を持ってきていた。
今は霞草と一輪のガーベラが咲いている。
(もう少ししたらまた持って来ないと)
太陽も傾いて、テニスコートからは掛け声が聞こえてくる。
窓から下を見てみると、テニス部のみんなが見える。
(大石くん、だ……)
視線の先には6組の菊丸とペアを組み、後ろで抜群のコントロールを見せている大石がいた。
(決して目立つテニスじゃないけれど)
周りを引き立てるように、そっと支えてくれる。
(まるで霞草みたい)
ガーベラは菊丸。
それならば大石は霞草だ。
(明日は、スイートピーと霞草にしよう)
そう心に決めて、教室を後にした。
(明日は大石くんの花を持って行こう)
「霞草のあなたへ、スイートピーの優しい思い出を」
END
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