dream
□人間という仕事
1ページ/2ページ
「ねぇ、人間という仕事の給料ってなんだと思う?」
「……え?」
ふいに口を出た疑問。
大石に聞いてみたけれど、大石はきょとんとした表情をしていた。
「人間という……仕事?」
「うん」
「俺は仕事だと思ってないからなぁ」
苦笑しながらも、何か答えを出そうと考えを巡らせているようだ。
まあ、実際のところ私も仕事だとは思っている訳じゃないんだけど。
「そうだな」
「え?」
「人間でいることが仕事なら、さ」
頭をかきながら、大石は私から目を反らす。
この仕草が照れ隠しであることを、私は知っている。
「俺と君がこういう関係になってることとか、人生の給料じゃないかな」
「……そっか」
ふふ、と笑みが零れた。
私が言うと、綺麗事に聞こえるであろうことも、大石が言うとそうではない。
優しくて、美しくて。
人間らしいのに、その生き方を真似することは私には難しい。
(この仕事の休みが、欲しいな)
「私も、大石みたく生きたいな」
END
NEXT→後書き