dream
□拍手ログ2
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其れは―
春の追想...
風が淡い花弁を運んでくる。
そよそよと心地よい風が顔を撫でた。
(何や、気持ちええなぁ)
風と、それが運んできた花弁に足を止める。
視線を上げると、桜の木が美しく咲き誇っている。
「綺麗やな……」
誰かの家の敷地内にあるもののようだ。
表札を見ると、見たことのある名字が書かれていた。
(ここ……あいつの家やないか)
そこに書かれていたのは、紛れもなく自分が想いを寄せていた人の名字で。
桜の木に止まっていた鳥の囀りが、なんだか少女が唄っているように聞こえた。
(美しきもの)
「明日は、話しかけられるやろうか」