彼岸花
□死ねぬ。
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「教官、教官!どちらにいらっしゃるのですか!」
施設内を探し回る。
全く、デスクワークとなるとすぐにいなくなってしまうのだから……!
「教かっ……!」
バン!
その姿を見つけたと思ったら、鳴り響く銃声。
「教官!」
「ん?あぁ、大石か」
ふっ、と笑みを浮かべる教官。
手には拳銃が握られている。
そして銃口が向く先は教官自身のこめかみだった。
「またあなたはそんなことをして!」
「……いいだろう?こうして死ねなかったのだから」
「……はぁ」
教官はいわゆる不老不死であるらしい。
毎日、毎日。
自分で自分の頭を撃ち抜き、そのたびにため息をこぼす。
「それで、大石。私に用があったのだろう?」
「……書類がまた沢山溜まっています。今日はそちらの業務を」
「……あぁ、頭が痛い!割れそうだよ。これは仕事を休まねばなるまい!」
「さあ、行きますよ」
「あー……」
教官を引きずって業務に向かう。
ちらりと教官を伺うと、嫌そうな顔はしていたけれど抵抗はしていなかった。
――頭を撃ち抜かれた跡も、綺麗になっていた。
その様子を見て、今度は俺がため息をつく番だった。
死ねぬ。