彼岸花

□騒ぐ。
1ページ/1ページ



「う、うん……」


布団から起き上がって伸びをする。
窓の外を見ると真っ暗だ。

起床は5時。
現在4時40分だ。


「跡部、千歳。そろそろ起きないと」

「ん……もうこんな時間か……」

「……」


起き上がる跡部と寝ている千歳。


「また千歳は……ほら、起きないと教官が起こしに来るよ?」


軽く揺さぶっても起きる気配がない。
起きるときは俺より早いというのに、起きないときはとことん起きない。

あ、まずい。
もうすぐ5時になる。

と思ったと同時にコンコンとドアがノックされる音がした。


「大石、全員起きているか?」

「き、教官……」


がちゃりと開けられるドア。
固まる俺たち。
寝ている千歳。


「……」

「……お、おはよう、ござい」

「ふふ……」


千歳が寝ているのを確認した教官は手に持っていたマシンガンの引き金に指をかけた。
しかも両手に一丁ずつ。


「起きろぉおおお!!」


どがががががががが!

怒号のあと、凄まじい轟音と共に千歳の体の周りに穴が空いた。
マシンガンを同時に二丁扱ってコントロールを失わないなんて、本当にこの人は何者なんだろう。


「起きたか?」

「起き、ました……」

「では早く準備を済ませるように」


教官はマシンガンを引きずって部屋を出ていった。

今日は仕事が終わったら部屋の片付けをしなきゃな……。



騒ぐ。




[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ