dream

□熱帯魚の恋心
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いつでも慈しみに溢れる深緑の瞳。
私を見つめるそれは優しく。

私の心を締め付けるのです。



「……それじゃ、行ってくるな」


トントン、と水槽に餌を落とし、彼は私を見てそう言った。
餌を食べることもせずに彼を見つめる。

綺麗な深緑の目は、私を引き寄せて離さないのだ。

部屋を出て行った彼の姿が見えなくなると、水槽に沈んできた餌を口にした。

あぁ、一言でいいから伝えたい。
「好きだ」と。
「ありがとう」。

それだけを伝えられたら、私はもう、死んだって未練はない。

だけど私は魚で、彼は人。

分かり合うことなど、ましてや言葉で伝えることすらできないのだ。
コツン、と水槽にぶつかる。

外に、出たい。

私は、ただそれだけを祈りながら彼の帰りを待った。
その時、ふわり、と光に包まれた気がした。
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