dream
□花筏
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ひらり、ひらり、
ひらり、ひらり、
八重桜が咲き始めるころ、ソメイヨシノは儚げに、しかし美しく散ってゆく。
「きれい、だな」
「うん」
川沿いの道を二人でゆっくり歩く。
散った花弁は川の流れに乗り、下へ下へと流れていった。
「もう学校には慣れたの?」
「あぁ、青学のみんなはいないけどね。いい人ばかりだよ」
そう言ってふっと笑う大石。
大石ならばどこでもやっていけるだろう。
わかってはいても、やはり同じ学校に通いたかったという気持ちは強い。
「私は大石がいないからつまらない、かな」
「え……?」
気持ちを呟いてみたものの、やっぱり恥ずかしくなって「何でもない」と言ってしまった。
大石は私を見て、優しく微笑んでくれる。
一緒に笑い合える。
それだけでも十分、なんだ。
「全く……あんまり心配させるなよ」
「ん?」
「何でもない、ほら、行くぞ?」
ほら、と大石が差し出してくれた手をとり歩く。
川の流れに乗る花弁のように、ゆっくり、ゆっくり。
END