3

□飛鳥
4ページ/23ページ



なんてことない、いつも通りのこと


目の前で筆を持ち仕事をしている妹子を見つめながら『好きだ、愛してる』なんて言っていた
本当に、いつも通り



そしたら妹子は急に筆を止め何か言いたげな目を向け、少し唇を開けた



「―・・・・・」



が、結構何を言うでもなくまた筆を進めた



「妹子?」



さっきのなんだ?と言うニュアンスで尋ねてみたが「何もないですよ」と言う用に無視して視線を机に向け仕事をし続ける妹子
そんな風にされてはしつこく聞けない。



「・・・・」

「・・・・」



筆が紙の上で動くさらさら、という音だけが部屋に静かに響く
お互い無言。何もすることがない私はイスに座りながらボーっとしていた








「・・・太子、」



さっきの事を忘れかけて、意識が違う所いた頃に妹子が顔をあげ声を掛けてきた
仕事に一段落付いたのだろう、筆をコトンと置いた



「さっきの、ですけどね?」

「うん?」

「・・・・あ〜・・」



また何か言いたげに眉をよせ怪訝な表情をし、口を開いたが、頭をかいて「やっぱいいです」と言って筆を持ち始めた



「なんだよーはっきりしないか芋!
言いたいことがあるなら言うでおま!」



(気になるじゃ、ないか)



妹子はまた怪訝な顔をしていたが、観念したようにため息をついてから私の目を見た



「僕も、ですよ」



そうとだけいうと、視線をまた机の上の書類にやり、筆をとり、さらさらと文字を書いていく
文字が先ほどより多少おぼつかない



(僕、も?)



何が『僕も、』なのだろうか?
ゆっくりと妹子の言った言葉の意味を考える



(・・・あぁ!)



意味がわかりパッと妹子に目をやると、筆はまだおぼつかない字を生み出していて、
その筆を持つ人間の耳はほのかに赤くて、



(可愛い奴め)



凄く嬉しかった


























これが精一杯
(僕も、好きです、愛してます)




‐‐‐‐‐‐‐‐‐
デレ芋!デレ芋!
ほのぼのしたような
甘いようなカッコいい文章を目指したつもりです



081115
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ