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□飛鳥
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「太子〜」


何処行ったんだあの馬鹿は!
今日は外交だってあるのに・・・
丸太のとこにもいない、
ブランコにもいない、
花畑にもいない、


太子の好きそうな場所を探したけれどどこにもいない


「もう、本当にどこに・・・あっ、」


いた
竹中さんのいる池に
竹中さんと談笑している


「たい、」

「それでもね、好きなんだ」


太子をよぼうとした時不意に聞こえた太子の言葉
それは食べ物とか、犬の話をしてるかもしれないものなんだけど、
その言葉を聞いて微笑んだ竹中さんを見て、それは竹中さんに向けられているものだと思った
そう思うと胸が苦しかった


「・・・太子」


僕は2人に静かに近付いて、太子の名を呼ぶ


「うわぁっ!?妹子!!何時からそこに!?」


大分挙動不信だ

(そんなに2人の会話を聞かれたくなかったのか・・・)

「さっきですよ、仕事があんですから早く戻って下さい!!」

「わ、分かった」


そう言ってすぐに太子は逃げるように走り去った
今日は随分物分かりがいいな?


「イナフ、」


太子の後ろ姿を見つめ続けていると急に竹中さんに声をかけられビクリとしたのが自分でも分かった


「えっあ、なんですか?」

「聞いていたんだろ?」

「!!」


ドキッとした
する気なんてなかったけれど盗み聞きしてしまったのだ
しかも愛の告白を


「すいません!!僕聞くつもりなんてなくて、」

「太子はあれでも一生懸命イナフの事を愛しているんだ、理解してやってくれないか?」

「・・・・・え?」


竹中さんの言った意味がよく分からないんだけど・・・


「ん?太子がいってたろ?『男どうしだけど妹子が好きなんだ』って」

「え、」

「アレ?イナフ最初から聞いてたんじゃないのか?」


しまった、太子に内緒にしといてと言われてたのに、と竹中さんが苦笑いしている間も僕は混乱していた


(太子が、好き?僕を?)


竹中さんにからかわれているかもしれないと思ったけど、次に聞こえた声がさらに確信へと僕を近付けた


「竹中さーん!!仕事終ったからまた妹子の話の続き・・・って妹子ぉ!?」


僕がまだここにいたという事を知らなかったのであろう太子が叫びながら戻ってきた


「太子・・・」

「いや、妹子違うぞ!妹子の事なんか話してないからな」

「すまない太子、ばらしてしまった」


太子の言い訳はむなしくも竹中さんによって切り捨てられた


「えっ!!ちょっ・・・」

「・・・・」


僕はといえば、得た情報が頭でこんがらがりなんだか分からなくなってただジッと太子を見続けていた


「・・・・・・・・・・―っ妹子、気持ち悪いかもしれないけど、私は妹子が好きなんだ!!」


ためらいながら発した太子の言葉でやっと頭がしっかり回り初め、顔に熱が集中してきた
答えなんか決っている
さっき感じた胸の苦しみをちゃんとした気持ちで表すなら、僕も太子と同じなのだから














無意識の中で
(僕だって貴方が好きなんだ)




‐‐‐‐‐‐‐‐
結構前に書いたもの

テスト明日で終りじゃーい!!



081209
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