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□左誕祭
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慌ただしく走る足音が聞こえてくる
冥界でこんな騒がしい物音をたてる人は僕の知っている限り2人だ。そのうち1人は先ほど仕事に(無理矢理)行かせたからこの音の主は…


「鬼男!!」


太子さんだ





豪快に現われた彼は大王がいないのをみてキョロキョロしだした


「あれ、閻魔は?」

「大王なら仕事に行きましたよ。
で、どうなされたんですか?」

「仕事か…好都合だな……」

「太子さん?」

「あ、いや、な!
さっき思い出したんだが、今日は私の誕生日なんだよ!」


なんて返答して良いものか分からなくなる
…この人は本当に死者らしくないな


「死んでもまだ生誕を祝うなんておかしくないですか?」

「細かい事を気にするなよー真っ先に伝えに来たんだぞ!」

「はぁ…」

「という事で鬼男に祝って貰うから!」

「は、ぁ?」


祝うといっても、僕にどうしろと言うのだろうか?


「あの、太子さ…」


ワクワクと言う表現がまさに合うといった表情の太子さんの顔が突然ドアップになった。
そして再び先ほどの距離に戻るまでに唇に何かが当たっていた
その間2秒ほどだったが、なぜか鮮明に見えた。


「よし、確かに祝って貰った」

「…………た、いし、さん…な、にを……」


思わず僕は手で口を覆いよろけたが、太子さんは至って平然としている


「ん?キスだ」

「いや、そうじゃなくてなんで、」

「誕生日プレゼントとして鬼男から欲しかったんだ!」

「なっ、………」


なんと返せばいいのか分からなくて言葉が詰まる


「だって私は鬼男が好きで、
鬼男に祝って貰いたかったからな!」





本当に……訳が分からないというか、
誰かに似ててむちゃくちゃで、自分勝手というか…



……そんな死者らしくない人を嫌いじゃない自分の気持ちをどうしたらいいのか誰か教えて欲しい


「……鬼男、ついでに言葉で祝ってくれないか?」

「……………………おめ、で、とうございます……」


まだ突然のことに動転してるけれども、とりあえず彼を祝っておこう…










‐‐‐‐‐‐‐‐
意味不文/(^q^)\
太鬼難しい…でも楽しい!


090213
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