Spiritual singer
□雨の中の出会い
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理事長が気を失った女の子を抱え戻って来てからしばらくの間、理事長室では慌ただしい事が続いていた。
理事長は部屋を行ったり来たりし落ち着きがいつもよりなく(優姫により強制的に椅子へ)、優姫は気を失なっている女の子のための服を用意したりして忙しく動き回った。
零は……、何もすることが無いと思ったのか、一人夜の学園に異常がないか見回りに行っている。
数時間後には理事長も落ち着きを取り戻したかに思えたが、いきなり何事かをぶつぶつと呟やき出した。が、突然立ち上がって叫んだ。
「そうだ!やっぱり…」
「Σ!?りっ理事長?あんまり大声で叫ぶと……」
驚いた優姫が女の子を寝かしているソファーを一度見てからから振り向いて声のした方を見たが、すでにそこに理事長は居なかった。
「……あれ?どこに?って、何してるんですか!?」
一瞬居ない事に驚いたが、反対に置かれている鏡の前に立ち何かをしている理事長を見て声を上げた。その声に理事長が返事をする前に、鏡の中が揺れ動いた。そして、一人分の影が目の前(鏡越しだが)に現れ、理事長に問い掛けた。
〔珍しいわねぇ、黒主灰閻。アナタが連絡を寄越すなんて〕
鏡の中の人物、市原侑子はそう言って妖しげに笑みを深めた。
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