Spiritual singer

□雨の中の出会い
3ページ/6ページ







その日もまた、黒主学園の風紀委員である黒主優姫は、放課後に毎回ある普通科(デイ・クラス)と夜間部(ナイト・クラス)の入れ替わりの時間に起こる混乱が終わった後もイライラしていた。理由は、



















「あーもう!どうして雨、止んじゃったのよ。いつもよりは生徒の数が減ってくれると思ったのにー」


昼過ぎから降って来た突然の雨。当然放課後まで降っていると思われた雨だったが、その放課後の時間になった途端雨は上がってしまった。この事に生徒達は喜べど、風紀委員にとってはありがたくない。


「おい、優姫。いつまでもそんな事言ってんな。さっさと見回り行くぞ」


騒ぐ優姫にうるさいという視線を投げ掛けながら、錐生零が言った。そんな零を見て、優姫は頬を膨らませた。


「わかってるわよ!それも有るけど、まだ理事長帰って来てないの?」


いきなり話題を変えた優姫に、零はため息を吐きつつ言った。


「あぁ。さっき一回見て来た時は居なかったな」

「そっかぁ……」




どこに行ったんだろぅ、と首を傾げながら優姫が考えいるとふと何かが聞こえた。零も聞こえたようで、周りを見渡している。

「優姫ー!零ー!」







―――――……。










「零、いま理事長の声がしたよね?」

「……あぁ」





「優姫ー!零ー!」









「やっぱり?」


「はぁ。そうとしか考えられないだろ」


二人が話している間にも、声が近付いてくる。そして、


















「ただいまー!
  優姫と零〜!!」



「おっおかえりなさい、理事長」

「……うるせぇ」



なかばテンションの高さに引き気味の優姫と、眉間に皺を寄せ声の大きさを指摘した零。


「そんな事より理事長。……ソイツは?」

「へっ?」


零の発言に優姫は再度首を傾げたが、その零が指し示した方を見て納得したと同時に驚いた。



「女の子!?」










優姫の驚いた声が辺りに響いた。








.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ