Spiritual singer

□雨の中の出会い
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「侑子さーん!久しぶりだね。元気そうで何よりだよ。
けど困った事が起こってね、どうしようK〔落ち着きなさい。うるさいわよ〕……はいιすいません(涙)」


一言で騒いで、マシンガントークを繰り出す理事長をたった一発で静めた事に、優姫は驚いて目を見開いた。


(あの理事長をたった一言で黙らせるなんて

……一体、何者?)


優姫が考えている間に、侑子と理事長の話しは進んだようだ。だが、まだ問題が残っている。






「あのぉ……」








優姫は恐る恐る二人に向かって話し掛けた。


「どうしたの?優姫」

〔あら?アナタがこの馬鹿が溺愛している子ね?私は壱原侑子。そうね、他には……



























次元の魔女とも呼ばれているわ〕

「侑子さん?魔女って




……本物の魔女さんですか!?」


理事長に変わって今度は優姫が騒ぎ出したが、その様子を見て笑顔を向けながら、侑子は言った。


〔そうよ。吸血鬼が居て、魔女だけは存在しないなんて……逆に変な話しでしょう?〕







ピシッ……―――――













その場の空気が一瞬凍った。





















「理事長。優姫。見回り終わったぜ?

……って、なんだ?この重たい空気は。それに、鏡の中にいるヤツは?」


見回りから帰ってきた零が、固まっている優姫を見て首を傾げながら言った。その問いに答えたのは、







〔あなたが錐生零?〕

「……あぁ」


話し掛けられ、少し警戒しながら返事を返す零を見て、侑子は微笑みながら言った。


〔私は壱原侑子。次元の魔女とも呼ばれているのよ?

















……吸血鬼に近き者よ〕


「Σ!?……お前、どうしてそれをっ!」


そう言って懐から血薔薇の銃(ブラッティローズ)を取り出した。


「Σ零!?」


その行動に優姫は驚くが、侑子は平然と零に向かって笑った。


〔血薔薇の銃……次元が違うのだから、私にその銃を向けても何も起こらないわよ?それに、吸血鬼でもないもの
























そこに居て、まだ眠っている子はそうだけれど、ね〕


バンッ…―――


侑子がそう言った途端に零は眠っている少女に向かって発砲していた。しかし、










パーンッ……――――














零「はっ?」

優「えっ?」

理「わぉ!凄いっ!!」



少女に向かった銃弾は何かに弾かれる音と共に、消滅した。それを見て、驚く三人。


〔……やっぱり珠美ね。確か、リーダーはフレイガルだったかしら?〕


《いいえ、わたくしです。次元の魔女》


突然聞き慣れない声が響き、その方を向けば、眠っている少女の脇に寄り添うように、一人の女性が佇んでいた。













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