Spiritual singer
□黒主学園
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「皇さん!」
「ねぇねぇ皇さん!」
『……はぃ?』
「〜〜///(可愛い!!)」
授業時間が終わった休み時間。零が居なくなった途端、それを見計らったかのように女子生徒達が珠美の元へ押し寄せて来た。
どうしたのかと首を傾げた珠美を見て、思わず生徒達は男子も含めその場にいた全員が赤面した。
(恐るべし。珠美の笑顔?)
眠りから覚めたばかりの優姫は、その様子をボーと見ていた。
「ねぇ優姫。ちょっといい?」
「なにー?頼ちゃん」
話しかけて来た親友に、優姫は生返事を返す。
「ほら。起きなって!」
「いっいひゃい。いひゃいよ!」
頬をつねられた優姫は、解放された頬を押さえながら親友を見た。
「あの皇さんって何者?」
「何者って……理事長の知り合いの友人らしくって。しばらく預かって欲しいみたいなことだったよ」
「へぇー」
優姫は侑子達のやりとりを大まかに伝えた。
「けど、皇さんがナイト・クラスじゃないのが不思議ね」
「あははι」
親友の言葉に、優姫はただ苦笑するしか無かったのだった。
***
『優姫!これから風紀委員の仕事?』
「珠美!そうだよ。けど危ないから、あんまり近付かないほうが良いと思う」
『んー。わかった!!』
今は放課後。普通科と夜間部の入れ換え時間が迫る時刻だ。
「それじゃね!珠美」
『頑張ってねー!』
優姫を見送った珠美は、他の教室を出ていく生徒達に笑顔で手を振っていく。そして、
教室内には誰も居なくなった。外では夜間部の生徒達が現れたのか、キャーキャーと女子生徒の叫び声が聞こえてくる。
『さぁ。今日は誰が見張りやる?』
誰も居ない教室で、珠美のくすくすという笑い声だけが響いていた。
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