クレヨンの扉

□1話.五月は出会いの季節
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あたしは散歩道、一本の黄緑色のクレヨンを拾った。


それが、あたしとヤン先生との出会いの始まり。







「てれらりら、れん〜♪」





キテレツな歌を歌いながら、
あたしはいつもの如く、手にしたクレヨンで
アスファルトの地面に簡単な長四角を描いた。



丸い把手をつければー?



「出来上がりィ〜」


上機嫌で、あたしは掴めない筈のソレを持ち上げる。

持ち上げると、地面が扉の形に抜けた。




「そーれ〜♪」




あたしは迷いもせずに、
その中に飛び込む。





ぽよよよよょん。





実にマヌケな音を立てて、
白いトランポリンが跳ねる。


まるで、この緑の大草原の中に咲いた花みたい。



「めしべ?」



あたしは自分を指差して、笑った。



ここはいつもいい風が吹いている。初夏の風、薫風だ。



「…相変わらず、呑気なヒトですよね、ユキは」



幼い声に下を覗き込むと、少年がデッカイ紙飛行機を折っている処だった。




「うっス!トール」



あたしはぶらん、
と逆さに実ったまま、挨拶をした。


 
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