クレヨンの扉

□2話.5月は出会いの季節
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〜1より〜




小さいが(やや)恰幅の良い彼女がやると、迫力満点である。



「ヤン、明日何があるのか忘れたのか?」



そう言うと、彼女は傍でお座りしていたマロ君に縋って立ち上がった。


「明日…というと、ああッ!!――――セシルの結婚式ですかッ!?」


ポン、と先生は手を打った。


「そうだ。
そこで泣いているチャーリーの姉さんのだ。

知ってるとは思うが、
結婚式の後は町中をパレードで練り歩くな?

その時、町の壁が落書きだらけだったら、どうする?」



あたしは最後まで聞かずに、
ゆうかさんからマロ君の手綱を受け取った。


「ゆうかさん、お借りします。
先生、行くよッ!!」


先生は一つ頷くと、
気絶しているトールをそのままに素早くあたしを抱き上げ、大猫に跨がった。


ゆうかさんはひらひらと、手を振っている。

その逆の手に、まだ握っていたらしい牛乳をパックから直接飲んでいた。



あたし達を乗せて駆け出す、マロ君の後ろでの会話が耳に届く。


 
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