クレヨンの扉
□5話.六月は湯煙桃源郷で!
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〜4より〜
「うちのコ達が迷惑を掛けたそうだね?」
苺牛乳を飲んでいると、
清風さんがするりと背中に凭れて、
肩越しにそう聞いてきた。
「いえ、あたしは何も無いんですけど、ちょっとトールが死にかけてました」
くくく、と肩を震わせている処を見ると、確信犯らしい。
「たまたま大きな街に行った時にね、
あれくらいの女の子達が一生懸命に本を選んで、沢山買い込んでいる市を見掛けたんだ。
それで土産にしたら、あの二人も喜ぶかなぁ、と思って頼んでお薦めを何冊か買ってきて貰ったんだよ。
そしたらそれからすっかり嵌まっちゃったらしくてね」
意外だったなぁ。
とか、トボけてはいたが、
「ほう。わざとらしく、
あの二人の話を事ある毎にしていたそうじゃないか」
ゆうかさんが口許をひくつかせて、第3のビールをがぶ飲みしながら歩いてきた。
「道理でお前さんがプレミアチケットなんざ、
気前良く振る舞ってくれた筈だよな」
まったく。