クレヨンの扉
□6話.七月は竜宮、時の彼方へ
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「……はあ」
「…………」
「…………ああ」
「…………何ですか、一体!」
ヤン先生の真夏の嘆きに、遂にトールが突っ込んだ。
「男ばかりがこうもムサ苦しいものだとは――――」
理不尽な師匠の物言いに、銀髪の弟子がテーブルを、ちゃぶ台返しでひっくり返す!!
「毎日毎回、どうして貴方はそう理不尽なんですカーッ!?」
これがあたしの居ない間に起こった、ヤン先生ンちの一幕らしい。
らしい、ってのは…
「はい、今度は車内でゲームをやっていきまーす」
バスガイドの脳天気な声が響き渡る。
このヒトはあんまり空気が読めないらしい。
そう。ここはバスの中。
あたしは今、夏の臨海学校の帰りなのであった。
皆、はしゃぎ過ぎて疲れ切っている。
クラスの半分はうつらうつらと眠そうだった。