図書室
□暑い日に
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唐突だが、私は蜥蜴である。つまりは爬虫類。
アリスが何を思ってそうなったかはさすがに分からないが、おかげで私は夏に滅法強い。
今、歪みの国の季節は夏。多分アリスや猫の居る現実の世界も夏なのだろう。昼間の日差しがサンサンと降り注ぐ中、女王陛下はパラソルを差し、冷たい紅茶をぼんやり眺めながら飲んでいる。
もちろん、というのか。私はその横に棒立ちしている。
時折カップにポットを傾けたりしながら。
「ねぇビル」
「何でしょうか、陛下」
陛下はいつも下ろしているはずの長い金髪の髪を、以前アリスに教えてもらったという「みつあみ」にしている。
私としては、陛下の白く美しいうなじが拝見できて嬉しい・・・が、夏の暑さとは違う何かが湧き上がってきて、眩暈すら覚える。
髪を下ろして欲しいようで、まだ眺めていたい。
こいうのを矛盾というのだろうか。
私は長い舌をチロリと動かした。
「どうかいたしましたか、陛下」
「・・・ビル。貴方、肌は冷たくって?」
「・・・はい?」
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