図書室
□泣き虫な空
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雨 雨 雨。
ざーざーざーと、無常にも、歪みの国には大粒の雨が降り注ぐ。
無論、この雨の原因は創造主であるアリスがその澄んだ瞳から流した涙である。
そのアリスはというと、今はビルが作った普通の、眠くなる成分なんて微塵も入っていないシチューをお腹いっぱい食べて眠っている。
横には薔薇色のドレスに身を包んだ女王陛下。その瞳にも涙。眠っているアリスから流れ出る歪みをしきりに拭っている。彼女の白い指は、水分によって光煌めいている。
雨 雨 雨。
止むことなど知らないかの様に、雨。
外は真っ暗。女王の心も薄暗くなっている。
それは、真実の番人である蜥蜴、ビルに決して起こしてはいけないと言われているから。もう何時間も我慢し続けているから。
首を狩ることも忘れて、ただただ、愛しい人が目覚めることを祈って。
鎌が錆びることも、紅茶が冷め切ってしまうことも。彼女は全く気にとめない。(アリスアリスアリス!)
女同士とは思えないほどの愛情。この世界は歪んでるから。そう片付けてしまってはいけないほどの寂しい空間。
言葉では説明しきれないのが悔しいが、本当に女王がアリスを愛する気持ちは純粋で、小奇麗で、うらやましいほどである。
「うぅ、ん・・・じょ、おうさま・・・?」
ついにアリスの目がさめた時、女王の顔には自身のドレスにも引けを取らないほどのバラが咲き誇った。
青色の目にはダイヤモンド。もはやそれは涙なんかでは無くなっていた。
「良かったわ、アリス!あぁあ、こんなに瞳に涙を溜めて!!」
「わ、たし・・・。なんでベットに?」
まだぼんやりとした顔をして、アリスは呟いた。
ここは?何故、背中に汗が・・・?
「かわいそうに。怖かったわね。悲しかったわね。でももう平気よ、わたくしがずーっと守ってあげる」
女王様がそういうと、アリスは起き上がり笑った。
華やかだけど飾らない微笑。微笑ましい。
「どうしたの女王様!今日は何だか大げさね?」
「