図書室
□白昼夢のような君と
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「アリス、ここはどこなんだい?」
歪みの国で生首になってしまったチェシャ猫を膝の上にのせたままジュースを啜っていると、暇そうな声でチェシャ猫が呟いた。
今日は珍しく叔父さんが「外食するぞ」と行ったので、私は最近買ってもらった可愛いピンク色のワンピースを着ていた。
もちろん叔父さんにはチェシャ猫が見えないから、いくらチェシャ猫が暇でも私は返事をしないようにしていた。可哀想ではあるけど、仕方ない。
「アリス?寝てしまったのかい?」
「・・・・・・・」
ぼーっと外を眺める。
おばあちゃんは風邪を引いたし動きたくないからと言って、家でお留守番。今思えばチェシャ猫のことも家に置いて来たほうが良かったかもしれない。あそこならテレビもあるし、私がずっと腕を前で組んでいることも無かった。
「暇、だよね」
「あ?なんか言ったか亜莉子」
私が思わずぼそりと呟いた言葉は叔父さんの耳に届いてしまったらしい。
叔父さんはハンドルを掴んだままこちらをちらりと視界に移した。
「ううん!お腹空いたなーって思って!叔父さんは空いてない?」
「そうだなァ。でも俺はさっきカップラーメン食ったしなァ」
「えー?それじゃあ食べられないんじゃない?」
私が頬をふらませて言うと、叔父さんは笑って「ほら、もう着くぞ」と誤魔化した。
着いた場所は家からそんなに近くないファミリーレストラン。今日は日曜日だけどそんなに混んでいないようだった。
というか妙に空いているような・・・。
「ほら降りろ。腹減ったんだろ?」
「あっうん!」
シートベルトをはずし、チェシャ猫を持つ。不意に手が喉に届いたので撫でてあげると、ごろごろと気持ち良さそうな声が聞こえた。
「アリス、お腹がすいたのなら僕をお食べ」
「しーっチェシャ猫!今は叔父さんだっているんだから!」
「おーい亜莉子ー?」
「はーい!」
私はチェシャ猫を落とさないように気をつけながら叔父さんのもとへかけて行った。
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