Novel(黒猫)

□不幸の手紙
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1人の少年と1匹の小さな黒猫が話していました。

「こんにちは。あなたとは初めてね。えっ?何で猫がしゃべってるかって?人間って必ず言うよね。
…それは、ドラ●え●んさんにもらったこんにゃくを食べたってコトで。
ところで、今日あなたに何で会いに来たか分かる?
今日はね、あなたにお手紙を届けに来たの。
実はあたし郵便配達の仕事をしているの。
はい、あなたへのお手紙。何か変わった名前の人ね。
誰なの?
んっ?言わない?秘密?!
ちょっと、いいじゃん!教えてよ!
えっ…個人情報保護法により言わない?!
あなた、頭いい人なの?勉強熱心派?
んっ?人間なら誰でも知ってる?
あっ、そう…
まぁ、いいからお手紙開けてみて?
何?後で1人でゆっくり読む?
…ん〜、まぁ、じゃぁ後でゆっくり読めばいいわ。
えっ?今度はしつこくないって?
まぁ、人には見られたくないものだってあるでしょ?
それにあたし、また郵便配達行かなきゃ。
じゃぁね。」


その夜、少年は手紙の封を開けました。
すると、何か鉄のような生臭いにおいがしました。
特に気にしない少年は手紙を取り出しました。
赤いシミがたくさんあります。
そういうデザインなのかな…
そう思いながら少年は手紙を読みました。
――オマエニバツヲアタエル。
モガキ、クルシミ、シンデユク。
オロカナルモノヨ…――

――シネ――

シンプルな不幸の手紙。
少年はバカバカしいと思い、その手紙を丸めてゴミ箱へ。
でも、少年は気になりました。
不幸の手紙なら、この手紙を何人に送れ。そうしないと死ぬみたいな言葉があるはずなのに…
これにはない。
まるで、自分だけが死ぬような…
ちょっと怖くなった少年は不安をなくすためと面白半分という気持ちで6人の友達に送ってみようかと思いました。
そして、6人分のレターセットを用意して書こうとしました。
ゴミ箱に捨てた不幸の手紙が気になります。
少年が赤のボールペンを持ちました。
ペン先が万年筆風のボールペン。
そのボールペンで1人目の名前を書こうとしたとき、少年はイキナリ調子が悪くなりました。
顔色は見る見る蒼くなっていきます。
息が苦しくなってきました。
吐き気が襲います。
少年は血を吐きました。
真っ赤な血は噴水のよう…
手紙にその血が飛びます。その血は歪な丸型になりました。
少年はもう白目を向いています。
唇は紫色。
血が止まりました。
少年の首はだらんとしています。
でも少年の手は動きます。
6人分の不幸の手紙を書きます。
たまに少年の口から血がたれます。
あのゴミ箱に捨てた手紙にもあったシミのように。
そして、6人分書き終わったら少年は椅子から崩れ落ちました。
少年はピクリとも動きません。
少年は死にました。
窓から、あの黒猫が入ってきました。
そして、机の上の手紙を銜え出て行きました。

「こんにちは。あなたに手紙があるの。」

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