Novel(黒猫)

□写真
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1人の少女と一匹の黒猫が話していました。

「こんにちは。えっ?何?写真を撮ってほしい?
えっ?冗談?私を怒らせたいの?
いいわ、撮ってあげる。
ほら、カメラを渡しなさい。えっ?ネコがカメラを使うなんてビックリ?その前に喋ってることに普通突っこむんじゃないの?
てか、突っこみなさいよ!!
ほらほら、いくわよ。
はい…

パシャッ

チーズ!!
おっとすでにシャッターを押してしまってた!
まぁ、いいや。自然がイチバンよ♪
じゃぁ、私忙しいから。
バイバ〜イ♪」

少女は黒猫からカメラを受け取りました。
ネコに写真を撮ってもらうなんて私が初めてじゃない?!
そんな自慢げな気持ちと嬉しい気持ちでいっぱいでした。次の日早速現像しに行きました。
3時間後に写真は出来上がりました。
意外とよく撮れてます。
その夜、黒猫に撮ってもらった写真をアルバムに入れました。
このアルバムには0歳のときから現在までの少女の写真が沢山入ってます。
まだ少女は気付かない。

ある日、少女はアルバムを見ました。
すると、変な事に気付きました。
0歳の時の自分の顔
白い靄がかかってる。
ページを捲って1・2歳の。
今度は自分の顔が薄くなっています。
こっちは黒くなってる。

なんで?

少女は少し怖くなってアルバムを本棚の奥にしまいました。
2ヶ月後、少女はイキナリ倒れました。
すぐに入院。
少女の腕に点滴の針が痛々しく刺さってます。
少女の顔は真っ青です。何回も吐きます。
髪の毛も沢山抜けて、いつの日かなくなってしまいました。
点滴の量も増えます。
そのたびに少女は痩せ衰えていきます。
アルバムの3〜10歳までの写真の少女の顔は真っ白い靄に隠れてます。
少女は花瓶に生けられた花を見ています。
花弁が1枚…2枚…と日が経つにつれ散ってゆきます。アルバムの写真は10〜11歳の少女の顔をなくしています。
桜が咲き乱れます。
風が吹くたびに桜の花びらは散って行きます。
温かい風が痩せてボロボロになった少女の身体をすり抜けていきます。
今日は少女の12歳の誕生日。
お父さんがケーキとカメラを買ってきてくれました。
パシャッと一枚お父さんが少女を撮りました。
その夜少女は悲鳴を上げ涙を流しもがき苦しみました。
そして、少女はこの世から消え去りました。
次の日の朝、お父さんが写真を現像しに行きました。
そして、少女を撮ったはずの写真に少女の姿はありませんでした。
お父さんの頭の中の記憶というアルバムにも少女の姿はなくなっていました。
お父さんだけではありません。
お母さん・お姉ちゃん・お爺ちゃん・友達に学校の先生。
少女と関わった人の記憶というアルバムに少女の姿は亡くなっていますた。
そして、あのアルバムにも少女の姿は1枚も載っていませんでした。
1枚として…ない。

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