その他

□はろうぃーん
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『なんの用ですか?臨也さん?』

「え?やだなぁー決まってるじゃない。今日は、ハロウィンでしょ?」


文化祭で何かと忙しいこの時期に、忙しさのピーク真っ只中、臨也に呼ばれた。静かな教室に居るのは私と、椅子に座ってる男だけ。

ニコニコと相変わらずの笑顔を張り付けたこの男―折原臨也―は誰から貰ったのか、はたまた無理矢理奪ったのか、目の前の机をお菓子で一杯にして随分と嬉しそうだ。

なんとなくこの後の流れの予想が着いたので、私は回れ右をしてドアに手を掛ける。


『まだ飾り付け途中だったなー』

「桜はお菓子くれないんだ?」

『なんでアンタにやらなきゃならないの!!!』

「だって静ちゃんには渡してたでしょ?」

『あれは腹減ったって言ってたからたまたま渡しただけであって…今日がハロウィンだからとかじゃないから!!!』

「でーもー、俺にくれないのはひどいよ桜ちゃーん」

『ちゃん付けキモイ!!!…もーホントアンタと話すと疲れるわ…』


そんな私を、臨也は楽しそうに見てくるからムカつく。ニヤニヤしている所を見ると完璧に私で遊んでやがんなアイツ。


『……大体そんな大量のお菓子を目の前に置いといて良くそんなセリフが吐けたモンだよね…!!!』

「いやー皆がどうしても受け取ってくれって言うからさー」


俺ってモテモテ!!と笑って手元にあったチョコを1つ口に入れる。…コイツにお菓子をあげるとか、皆騙されすぎじゃないのか。

このウザさをお菓子をあげた人たちに見せてやりたい。そして顔が良いだけで中身は非常に残念なんだよ。といってやりたい。

大体お菓子なんて持ってないし、あげるつもりもなかったから持ってきてすら居ない。適当にはぐらかしてさっさと戻ろう。


『用は済んだし、私はこれで失礼するよ』

「お菓子は?」

『そんなもんない!!』

「ふーん?」

『な、なに…?』

「そうか…なら、仕方ないよね」

『んじゃ…』

「桜――」


少し残念そうにため息を吐いた。だけど私はそれ以上貰って何が嬉しいんだ。と戦慄した。まためんどくさいことを言われる前に退散した方がよさそうだ。

軽く一礼してドアに手を掛けると、不意に視界が揺れる。引っ張られた。と理解した時、口の中に仄かな甘みが広がった。


『なんっ…!!!!』


わざとらしく音を立てて離れた唇。睨み返せば「御馳走様」と笑った臨也の顔。

畜生、本当にやな奴だ。


『な、何すんの…!?』

「だって桜、お菓子くれないからせめてチョコあげようと思って」


おいしかった?と首を傾けても可愛くも何ともない。むしろイライラが増しただけだよ。

っていうかあぁもう、本当にコイツなんなの?じゃあ普通にチョコくれればいいじゃん。つかチョコいらないよ。

頭の中で駆け巡る言いたいことを1つにまとめて悪態を吐けば、臨也はやっぱりいつも通りの笑みを浮かべてて…


『バカ』

「それは褒め言葉?」

『貶してんだよ!!!』


結局私は臨也の暇つぶしに付き合わされただけだった。もう、本当に…なんていうか…こう、とりあえず静雄にぶっ飛ばして貰おう。それが一番いい。

でも、まぁ…チョコ美味しかったし、今日の所は許してあげようかな!!!…なーんて、ね。






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