短編小説
□闇と光にはさまれて 番外編:報道部
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「オッス、悠一君」
「……なんだ朝倉か」
休日の朝早くから目が覚めた……というか、茶々丸に家の掃除をするからと叩き起こされ、リビングでダラダラしていたら邪魔だとエヴァから追い出され、仕方なく悠一は散歩に繰り出していた。その途中、睡魔に襲われベンチで眠りに入ろうとしたところ、今度は朝倉によって起こされたのだ。
「なんだとはひどいなぁーせっかくお姉さんが声をかけてあげたのに」
「はいはい……それにしても大荷物だな。ハイキングにでも出かけるのか?」
どうやら今日はこれ以上眠れないらしい。目をこすりながら朝倉を見ると、彼女は首から一眼レフをぶら下げ、右肩にはリュック、左手には大き目のボストンバッグを持っていた。
「そんな楽しいものなら良かったんだけどね。もちろん取材にいくのさ」
報道部に所属し、『麻帆良のパパラッチ』を自称する彼女は常日頃スクープを求めてカメラを片手に学園中を駆け巡っている。今日も休日の朝から動き回っているようだ。
「どう?良かったら悠一君も一緒に来てみない?部活体験してるんでしょ?」
どうやらネギの話はしっかりと通っているようだ。家に帰ったところで掃除を手伝わせられるに決まっているのだからと、悠一は取材に付き合うことにした。