短編小説
□X-mas記念09『不器用なメリークリスマス』
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季節は十二月。 一年の終わりと、新たな年を迎える準備をする人々で街は賑わっている。厳しい寒さではあるが、行き交う人々は皆、笑顔だ。
それもそのはず。なぜなら今日は十二月二十四日、クリスマス・イブ。キリスト教が普及していないこの国でも、クリスマスだけは立派なものだ。いや、本来の意味などほとんどの人は気にしていないのだろう。
そんな賑やかな街の中で悠一と茶々丸は買い物に来ていた。
「ふぅ……買い出しはこんなもんか?」
両手に紙袋を持ちながら、何とも疲れた声で悠一が尋ねた。
「はい。 一応リストに載っている物は揃いました。 片方、持ちましょうか?」
「いや、大丈夫だ……それにしても凄い量だな」
「クリスマスが終わればすぐに大晦日にお正月ですからね。 今の内に出来るだけ買い物は済ませておいた方が良い筈です」
「それもそうか。 年末年始じゃあもっと人が増えそうだもんな……んじゃ帰るか?」
「そうですね。 そろそろ日も暮れてきましたし。 あまり遅くなるとマスターが怒りかねません」