海よりも深く
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ダダダダッ!
バンッ!!
「神威!何よこれッ!?」
部屋に帰ってきたと思ったらこれだ。
「何って“かき氷頬張り大会”」
「そんな事はわかってるのよ!そ・ん・な・こ・と・は!私が言いたいのはかき氷じゃなくてこ・れ!!」
夏海が指を指してそれを示した。
「“今回の優勝者には、春雨の中でも人気が高い夏海さんにキスをしてもらいます!!
あ、ちなみに頬とかじゃなくて口ね”」
………なるほど。
そういうことか。
「別にいいじゃん」
「みんながよくても私がよくないの!!」
涙を目に浮かべ顔を真っ赤にして怒っている夏海。
そんな顔してもそそるだけだヨ。
「あはは、どんまい」
「ど…どんまいじゃないよぉぉぉ!!阿伏兎さぁぁん!!」
うわぁぁん!と泣きながら部屋を走り去った。
「なんで阿伏兎ン所に行くのかな?」
またもや内心ピリピリ神威さん
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「阿伏兎さーんっ!!」
「うぉッと…どうしたんだよー夏海」
「……コレ」
渡してきたのはかき氷頬張り大会のポスター。
あぁ、そういえば優勝者には夏海からのキスだったっけ?
「助けてー阿伏兎さぁん…」
「そんなこと言われてもなァ…」
そのうるうるした目はやめてくれ…
俺、さり気なくそれ苦手なんだよ……!
「そうだ!じゃあ、阿伏兎さん優勝してよ!!」
「俺が?」
「そう!阿伏兎さ「それはダメ。」……何よ」
誰かに声が遮られたと思ったら団長だった。