「あ…あ、あああ…」 足元に転がった、僅か数分前までは人間だったモノから溢れるどろりとした生暖かい液体。 鼻をつく鉄の匂い、 あか、 赤、 アカ、 広がっていく。 と、死体が弾けた。さらさらと風化していく。 やって、しまった。 手にかけて、しまった。 好きだったのに。 愛していたのに。 「アクマは何処だ!!」 誰か来た。逃げなければ。殺人は死罪だ。 「…お前が破壊したのか?」 足音が近付いてくる。でも、私の足は動かない。 「アクマを破壊したのはお前かと聞いている」 「アク、マ…?」 「さっきまでお前といたヤツだ。お前が壊ったのか」 「…そう。私が、殺したの」 私がそう言ったら。黒くて長い髪の、黒い服のその人は言った。 既成事実 (私の愛したあの人は既に死んでいたのだと) 定期的に書きたくなってしまうアレです。ちょっとダークな。 ヒロインは適合者だったのですがそれを知らず、実はアクマだった恋人を手に掛けてしまったというお話です。 20100812 |