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□ハジマリ
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「しげ〜、入ってもらっていいか?」
ひげの男が気の抜けた声で、PCをいじっている青年に声をかける。
「どんな内容ですか?」
キーを打つ手を止め、重は協栄丸に近づいた。
「えー、『恨みを晴らす晴らし屋』ってやつの正体を探って」
重は雑な走り書きのメモを受け取り、言葉の通りにしか書かれていないのを確認してか
ら協栄丸に聞く。
「詳細は?」
「被害者からの情報はそこにファイルしてある。あぁ、ネットに巣くってるらしいぞ」
「今から調べますね」
「ああ。よろしく」
親子のように年の離れた二人が会話するのは、閑静な住宅街にある社長の実家兼情報屋
事務所だった。