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□クリスマス2008・2
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「先生、ここのイルミネーションもすごいですね!」
金吾はクリスマス飾りをきょろきょろと見回している。
似たような物をさっきも眺めていたのに。
私からしたら何が楽しいのかと疑問に思うわけだが、金吾にしてみると、見てウキウキしない方がオカシイらしい。
ああ、…私は静かな方がいいな」
「心配しなくても家は飾り付けしませんよー。それより、早く買い物しましょう」
金吾は少し膨れていうが、すぐに持ち直し私の手首を掴んで引いていく。
夕飯は何にするかな…」
「決まってないなら、ホワイトシチューにしませんか?」
「ふむ、シチューか」
「今日は25日ですからね」
「…?」
「ひと月まえのクリスマスですよ」
当たり前のように言うが、ひと月まえにクリスマスを祝うヤツはいないだろう。
楽しそうだから言及わしないが。
「クリスマスはシチューなのか?」
「うちはシチューでしたよ。いつもよりお肉多めで、にんじんは星形、ブロッコリーとカリフラワー、最後にカボチャを乗せて完成です。
食後はショコラケーキとシャンメリーで決まりですね!」
これだけ自分で提案しているのに、向かっている先は雑貨店である。
作れない私はワインを希望するだけだ。