TEXTU

□クリスマス2008・3
1ページ/4ページ

「なんで」
おれが口を尖らせると、竹谷はすかさず続きを言う。
「俺なんかと買い物しなきゃなんないんだって?」
「…。」
「そりゃあジャンケンポンで負けたからだろうなぁ。たうふくんもサッサと選べよ」
竹谷は子どもたちに混じって次々とサンタ帽子の試着をしていく。恥ずかしいヤツだな。
しかも子どもたちと仲良くなってたりするのが…。
「たうふってなに?」
「昔は豆腐をたうふって言ってたんだ。洒落てんだろー?」
「物知りだねー!」
「なんで豆腐って呼ばれてるのー?」
もっともな質問。そしてその理由はおれが知りたいくらいだ。
あの運動会は鉢屋が仕組んだことであって、おれには何の非もない。
先輩に豆腐ぶっかけたのもおれじゃない。
「この兄ちゃんは豆腐が大好きなのよ、愛してるって言っても過言じゃないってくらいいつも豆腐食ってるから、たうふくんって呼んでんだ。弁当も毎日豆腐だぜ」
竹谷が好き勝手言ってるが、おれは否定も肯定もしない。口を挟んだら負けな気がする。
一応言っておくが、おれは一般的な量しか食ってないからね!
「お、このトナカイカチュもいいんじゃないか?」
「いくつ買うつもりだよ」
すでに竹谷の手にはサンタのフルセット、サンタ帽、キラキラの三角帽、リース、モールなどなどが抱えられている。
「来年も使えるんだからいいじゃん」
そういう竹谷の頭には、なぜかうさ耳が付いている。
「うさぎは要らないし、おれの部屋にツリーはないぞ」
「じゃツリーも買ってくか」当然のように立ち上がり、小さいツリーが並ぶあたりに視線をやる。
「違う違うッおれが言いたいのは!」
「集まる場所変えろって言うんだろー?俺はいいけど、鉢屋がうるさいんじゃないか」
「なんとかしてくれ」
「うーん、鉢屋を言い負かせるのは立花先輩くらいだろー。あの人本当に怖いよ、冷静なんてウソだもん。おれチビるかと思った」
何をしたらそんなに怒られるんだろうか?
「言い負かす必要はないぞ、おれもお前も得する方法がある」
「なになに?」
おれがニヤリと笑うと竹谷は帽子を投げ出し耳を寄せた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ