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□クリスマス2008・4
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「あれ、なんで三木居ないの?」
「また今さらな疑問を」
「まあいいや、寒くなったしどこか入ろう」
きょろきょろと店を探す喜八郎。三木ヱ門、お前の存在はそんなもんらしいぞ。
「どこに入るんだ?」
「カラオケ」
「以外で」
私が即答すると、喜八郎は仕方ないというようにカバンから紙を取り出す。
ちなみにすでに晴の前。
「晴の割引券?」
「そう」
「自分は割引券で私は全額か…」
「あげる」
「…何か企んでるのか?」
私が訝しむと喜八郎は店の中を指して言う。
「滝に害はないらしい」
喜八郎の計画は良心的にとても引っかかるが、店に入れば結局同じ結果になるわけだし、と私は割り切ってしまったらしい。すみません久々知先輩。
カランとドアのベルが鳴り、店内に溢れる見知った顔が一斉にこちらを向く。
「あ、あややと滝だ!メリークリスマス!」
とサンタ帽の七松先輩。
「いらっしゃい」
と青い髪の店員さん。
「あ、綾部」
とこれから可哀想なことになるだろう先輩。
「よう、お前らも来たのか」
と赤いマントを纏う潮江先輩。
「みんなヒマだよなー」
とモールや綿で自分を飾りつけた竹谷先輩。
「綾部喜八郎くんがやって来ましたよー、メリークリスマスー」
「どうも、」
濃い周りの勢いに押されず、両手を広げて挨拶する喜八郎。私は出来上がった場所に入って行くのはどうにも苦手だ。
「滝元気ないねー?メリークリスマスだよ?!」
白ひげ赤鼻の七松先輩が顔を覗き込む。その腕には疲れた顔のトナカイ金吾と、なぜかねこ耳の乱太郎が抱えられていた。その向こうには潮江先輩に捕まった三木ヱ門がぐったりしているのが見える。なんでアイツは顔に犬ひげを書かれているのか。
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