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□忘れ得ぬ日々
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(草日)



「冬獅郎!」

呼ばれて、振り返る。
視界の端に捕らえたのは、太陽の様な笑顔。

「草冠」

俺が名前を呼ぶと嬉しそうに笑う。その見慣れた笑顔に安心する。そして俺もつられて笑顔になる。




それは、春の暖かい日差しの様に優しい日々だった。

夏の青い海の様に明るい日々だった。

秋の高い空の様に心地良い日々だった。

冬の雪の様に儚く脆い夢の様な日々、だった。





喧嘩をして、仲直りして、笑い合って、夢の話をして、約束をして、一緒にご飯を食べたこともあったし、授業をサボって昼寝もした。
気が付けばいつも一緒にいた。
だからこれからもずっと、何気ない日常を過ごしていくなかで、やっぱり一緒にいるのかなぁ、なんて思ってた。
ただ漠然と。なんの根拠も無く。


そんな日常が自分でも驚くぐらいに好きだった。



















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