陰陽の華嫁

□拾弐
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「臨、兵、闘、者、皆、陣、列、在、前
−−行(ギョウ)!」




揃えられた二本の指先に灯る
金色の灯火。

一文字
、一文字
当主の声音と共に、宙に描かれた
四縦五横の格子は
主の喚び声に応えるように
十夜へと、その灯火を放った。
反射的に掌の内の竹刀を構える。

−−だが




「ッ!?」




襲い掛かる金色の煌めきに、本能が警鐘を響かせ

無意識に床板に身を投げた。

…はら、り
僅か散らばる
椿の紅

頭上を掠めた輝きに焦がされた、己の髪先に
再び思考が飛び掛けるのを、寸でのところで堪え
十夜は震える脚で立ち上がる。




「今のように、防御の九字でも
五行を加える事で、攻撃として使用する事が出来る。

−−では、先ずは自分の最も得意とする属性を知ろうか」

「得意な属性…?」

「そう。人体には五行全ての気が流れているが
霊力と併せる事が出来るのは
一定量以上の力をもつ属性だけなのだよ。

私なら、金行というようにね」




当主の指先で、金色の霊力が

ゆら、り…

踊る。




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