陰陽の華嫁

□拾玖
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金色を貫いた
白銀の、瞳




「無駄話はそこまでにしろ。

−−来るぞ」




渋紙色を滲ませた、黒革の手袋の
中。
黄金の灯を灯した
二丁拳銃が

クル、リ
踊った。






『キィィ−−−ッ!』

「っ!?」




鼓膜を突き刺す甲高い鳴き声。

それを合図とするかのように、ざわめきの羽音が群を成す。
陰陽師たちを取り囲む暗緑が、暗闇の空で描く
演舞に
千歳は苦笑にも似た笑みを浮かべた。

背後に構えた大鎌は
、夜更けの彩
水行の灯




「えらい数やな。そんだけ、人の世が荒んでる証拠か?」

「平成とは−−名ばかりだな」



ギィ、ンッ!




己の身を剣にして襲い来る暗緑を、千尋の水行の霊力を帯びた錫杖が
薙払う。
地に叩き堕とされた物の怪は、冷気を放って氷塊へと姿を変えた。




…物の怪は、人の負の感情から産み出される
異形。
人の世が混沌に侵される程に
その数を、増し
己を産み落とした人を襲う。


黒龍が封印から解き放たれたのも

−−また、
世の汚染が
、故……





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