陰陽の華嫁
□弐拾
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－－－“四凶”
1000年前‐‐平安の刻
500年前‐‐戦国の刻
黒龍の復活と共に姿を現した、四匹の物の怪。
木行の、窮奇(ｷｭｳｷ)
火行の、檮兀(ﾄｳｺﾂ)
水行の、饕餮(ﾄｳﾃﾂ)
金行の、渾沌(ｺﾝﾄﾝ)
四つの凶
目覚めるは、
此の世の終焉の始まり、也
｢人の世は終わりだ－－－人間｣
異形の背後で、月が
陰る。
雑じり合う事無き
陰陽の剣が、月灯に照らされ
揮われた……。
「ぁ…。ほら、始まっちゃったよぉ？神子姫。
－－って、聴こえてないかぁ」
頂部を醜く崩されたビルの、上。
眼下で始められた、四凶と陰陽師達の戦闘に
一人の少年が、哂う。
幼子にも似た、
高さを帯びた、低音。
瑠璃の彩の長髪が、夜風に揺らいだ。
…ぱしゃ、り
ブーツの革を汚す、椿の紅の水面。
無惨に崩れた薄灰色の瓦礫の足元から溢れる。
容姿を少女と良く似させた少年は
にた、り
口角を上げ
それへと、指先を伸ばした。
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