Is this love-ver.kenya-
最初から、わかってた事やのに。
彼女は俺を見てない事くらい、知ってたのに。
彼女は、俺の幼なじみやって。
人形のようにくりっとした目。肩までの、栗色に染められた髪。
一見、可愛く見える容姿。せやけど、性格はどっちかと言うとサバサバしてる。
「けーんや!今日も部活頑張ってんね?!」
最近、よくコートに顔を出すようになったお前。
頻繁に来るもんやから白石からマネージャーにならへんか?って誘われとる。
「……なんやねん、また来たんかいな?ほんま、マネージャーになったらどうやねん?」
「んー…そうやなぁ…………あ、財前君!」
財前を、見つけるなり財前の元に走ってくお前。
そんなお前の背中を見届ける俺。
………なんやろか、この気持ち。
胸が、締め付けられるように苦しくて。
痛くて。
お前の、隣にいたのは何時も俺やったのに。
「……また、来てるんすか。先輩」
面倒そうに、話す財前。せやけど、気のせいか若干顔が緩んでる。
「私ね、蔵にマネージャーに誘われてんねん。……なってええかな?」
……いや、それ財前にする質問とちゃうやろ。
「………別に、ええんちゃいます?白石先輩が、言うてはるんやったら。」
「ホンマ?ほな、なろっかなー?」
財前の言葉に、満面な笑みを浮かべるお前と。
なんや、頬を染めて照れてる財前。
それ見た瞬間、俺の中で何かが音を立てて崩れた気がした。
幼なじみ。
小さい時から、何時も隣にいる事が当たり前やって。
お前の隣にいるんは俺だけやって思ってた。