ネギま! IN ネギ?
□始まりはきっと雨
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「……雨すげぇな、おい」
傘を持たずに空を見上げる青年が一人。
両手にはビニール袋が下げられていて、本がのぞいているがこの雨だ。
おそらくは1冊、2冊どころではなく駄目になってしまうだろう。
「天気予報は嘘つきさ〜」
―借り物だけど、まぁいいか―そんな事を考えながら家に向かい足を進める。
視界は悪く、知った道でなければどこかにぶつかるだろうがひょいひょいと軽い足取りのままに右に左に揺れる。
「飲みすぎたか〜?」
足取りからはかなりの量を飲んだだろうと見る事ができる。
「――――」
「誰かいんのか」
声が聞こえたような気がして振り返るも誰もいない。
首を傾げながら前を向こうと―ブスッ―何かが刺さる音と感じる痛み。
「おいおい」
アルコールのせいか、感覚は鈍いが確かに―ブスッ―また、刺された。確かめるまでもないが腹に手をやれば生温い感触。
ブスッ! ブスッ! ブスッ! ―! !!!!!!
刺す音も、息遣いも何も聞こえない。
ただ、熱くて、痛くて、どうしようもなくて。
「……調子乗ってんじゃねぇよッ!」
青年の中で何かが切れる音が聞こえた。
目の前にいる男―女かも―を掴んだまま倒れ込むと馬乗りになる。
反撃されると思わなかったのか一瞬身体が固まったところで、殴る。
どこと言わず―見えないので―手当たり次第に殴る。
「ガッ! ―!」
鼻をへし折る感触が伝わり顔の位置がわかったら後はそこだけを殴って、殴って、殴りつづける。
「クソがッ!」
自分の持っていた袋で反撃され、思わずのけ反ってしまう。そこを見逃さず突く、突く、突く。刺す、刺す、刺す。
倒れ込んだ、身体の上に本が、「ネギま」と、かかれた本がふりかかる。
多少なりとも痛いと感じず、青年も死ぬのだとおぼろげながら理解してくる。
―マンガに埋もれて死ぬって、かなり恥ずくねぇか?―
それが青年の最期に思ったことだった。